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夜桜

以前住んでいた近所に一本だけライトアップしてる桜がありました。近くの工務店さんの土地にあるのですが、通りすがりによく眺めてました。そこから思いついた話ですが、またもや歯切れの悪い終わり方・・・。



今日の撮影も滞りなく終わりタクシーで滞在先のホテルに向かう途中、現在俺の役の妹を演じている彼女は運転手に進路変更を指示した。ホテルへの道が事故の為渋滞しているからだろうかぐらいに思っていたが、タクシーが停まり降りた場所はホテルではなく見知らぬ所だった。カインとして妹セツにどういう事なのか尋ねようとした瞬間、

「タイム!!」

振り向きざま両手を突き出し必死の形相で訴えてきた。

「クス・・どうしたの?最上さん、そんなに必死にならなくても大丈夫だよ」
「あ、はぁ…まだ帰宅途中ですし、ヒール兄弟解除するのは違反かと思って・・」

と、少しばつが悪そうにしている。

「今は誰もいないから……それよりここで降りたのは何かわけがあるんだろう?」

そう続きを促すと最上さんは、ぱあっと笑顔になり

「そうなんです!ぜひ敦賀さんにお見せしたいものがありまして・・・」
「へぇ?なにかな?」
「えっと、この近くに桜の木があるんです。だるまやの常連さんが所有している土地に一本だけあるんですけど、近所の人に楽しんでもらおうと毎年花の時期にライトアップしてるんです。私は去年初めて見に行ったんですけど、夜空に一本だけ光る桜がとても美しくて今年は敦賀さんにも見て頂きたいと思ったんです」

メルヘン癖のあるこの子がいかにも好みそうで、瞳を潤ませて語る姿に俺も顔が緩んでしまう。

「有名な場所じゃ人も多くゆっくり見れませんけど、そこなら近所の人しか知らないのでお花見を堪能できるかな…なんて……あ、こちらです」

頬を染めうきうきしながら話す様子に思わず手が延びていきそうなのをぐっと堪え、最上さんの視線の先を見るとそこには・・
一本の桜の木に6~7分咲きの花が電球に照らされている。周りは駐車場で他に人はいない。仄かな明るさに照らされたそこだけ異空間のようだ。時折風に吹かれて舞い踊る花弁たち。不思議な空間の美しさに見惚れていると

「どうぞ」

いつの間に買ってきたのか最上さんが缶コーヒーを差し出した。

「ありがとう・・とても綺麗だね・・・」
「そうでしょう!私絶対に敦賀さんと見たいなって思ってたんです!!」

ん?俺と見たい?…イヤイヤ、そういう発言を鵜呑みにするのは危険だ・・・。

そのあとしばらくは会話もなく、ただ二人で桜に見入っている。
どれくらいの時間そうしていたのだろう。ふと視線を感じて隣の少女を見ると

「敦賀さんと桜・・・似合いすぎててずるいです・・」

少しふくれて頬を染めプイと横を向いてしまった。そんな所作一つに心が揺らぐ。

「ずるいと言われても…最上さんこそ桜の妖精かな?頭に花弁ついてるよ」
「またそういう事をスラスラと・・って花弁ですか?どこですか?」

少し上向きで片手で髪をクシャッとする。

「ほら、ここ…」
「ありがとうございます」

照れながら笑顔を向けられ……これはもう限界が近いと感じた。
この手が少しでもこの子に触れたらもう自分を抑え込むことはできないだろう。
そしたらこの子は否定するだろうか。逃げてしまうだろうか。傷つけたくはない。
でも・・・逃がすつもりはない。絶対に。

「冷えてきたからそろそろ行こうか?」
「あ、はい、そうですね」
「最上さんとこの桜が見れてよかった・・ありがとう」
「イ、イエドウイタシマシテ・・」

笑顔で礼を言っただけなのに最上さんは固まってしまった・・・。
少し風が強くなってきた。それに翻弄される花弁たち。
寒そうに肩をすくめた最上さんを風除けになるようにふわりと抱き込んだ。

「……最上さん、聞いてほしい事があるんだ…」

覚悟して・・最上さん・・・。



終り






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