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ACT.192続きっぽい妄想

続きっぽさはほんの少しです。



浴室と部屋を隔てるドアがそおっと開く。
考え事をしていていつもより長風呂になってしまったキョーコがひょっこりと顔を覘かせた。

(あ・・良かった・・・もう寝てるみたい)

蓮扮するカインヒールがベッドで繭玉のようになっているのを確認してから、キョーコはするりと部屋へ滑り込んだ。
キョーコは部屋に戻ってから蓮と素では話していない。尚と一緒だったことの弁明を留守電に残したものの、それについて蓮から連絡がないままキョーコが部屋へ入った瞬間から、蓮はカインとして接してヒール兄弟の生活を再開したのだ。
キョーコはホッとしたようながっかりしたような複雑な気持ちを抱え、セツになりきれていない自分を叱咤した。

(ダメダメ!今はセツに集中しなきゃ!!)

目を閉じて呼吸を整える。もう何度もくり返しているが役に未だ入れていない。キョーコはため息をつき顔を上げ繭玉になっている兄の方へと近づいていった。

(ん?・・珍しい・・)

いつも頭まですっぽりとかぶって寝るのがカインのスタイルなのだが、今夜は頭が半分程出ている。キョーコの位置からは寝顔までは見れないが眠っているであろう様子は確認できた。
キョーコはベッド下の床に両膝をついてそっと蓮の頭に手を伸ばした。少しだけ触れたその髪はいつか蓮を介抱していた時に撫でた感触と同じで、もっと触れていたいと心の奥底で訴える。

「ふふっ・・気持ちいい・・」
(セツなら・・)

セツならばカインとのスキンシップで、などと言い訳じみた事を考えている時点でキョーコの想いは溢れ出してきている。この2日間キョーコは蓮のことが頭から離れず、そして

『バカじゃねーか?』
『俺とお前が一緒に居たからってアイツの機嫌が悪くなるとでも思ってんのかよ』

尚の言葉もまた何度も響く。これに反論する事は出来る。確かに蓮の機嫌が悪くなるからだ。でもその理由は尚が指摘しているようなことではないというのがキョーコの見解であって、その現実が蓮が話題に触れないことも苦さを増している。

(本当にバカになっちゃった・・・敦賀さんにアイツとのこと言われるの怖いくせに、言われないとがっかりするなんて自分勝手だ・・・敦賀さんにとって私はただの後輩でしかないのに・・でも傍に居たい)

「つるがさ・・・」

起こさないように髪に触れていたのに、思わず小声だが素の名前を口走り慌てたキョーコだったが更に驚いた。
背中を向けていた蓮がふり返りキョーコを真っ直ぐ見つめている。

「・・今・」

蓮がかすれ気味の声で言葉を発した時

「ひゃあ!!」

キョーコは今度は驚きの声をあげた。
それは2人から少し離れたテーブルに置いてあるキョーコの携帯の着信音。

「も、もう!急に・・!」

電話は受ける側にとっては大抵急に鳴るものだが、素である自分を誤魔化すように蓮の傍から逃げるように慌てて電話に出た。

「はい!最上で『早く出ろよキョーコのくせに!』」
「なっ!・・」

この声も開口一番に言う台詞もキョーコが思い当たる人物は1人だけだ。
キョーコは瞬時に己の迂闊さを呪った。画面を確認せずに電話に出たのだ。そしてベッドにいるはずの先輩俳優を確認する必要なく、すぐ背後にその気配を感じた。

「誰から?」

抑揚のない声がキョーコの頭上へと降ってくる。

「あ、の・・」

蓮は固まっているキョーコを後ろから抱きしめ、携帯電話をキョーコの手ごと自分の方へ引き寄せた。

『オイ!!訊いてんのかよ!何とか言えよ!!』

電話からは尚が喚いているのが響いている。

「・・こんな時間に迷惑だよ?不破君」
『!!??』

尚からすると、こんな夜中にキョーコの携帯に男が出るなどありえない出来事である。

『・・・誰だお前・・』
「・・ミュージシャンなら声だけで分かるだろう?・・・今どういう状態なのかも・・」
『何!?』

蓮は抱きしめていた手を緩めて明らかに別の意思を持ってキョーコの脇腹に手を這わせた。

「や、ぁん」

変な声を出してしまったと口元を押さえ全身真っ赤なキョーコに蓮は笑みを深くして

「君に聞かせられるのはここまで、もう二度とかけないでくれ」
『なっ!!テメエ!!』

尚が喚き続けているのをそのままにキョーコの手から携帯をするりと抜き取り電源を落とした。
キョーコは抱きしめられている状態でどうしていいか分からず身動き出来ずにいる。

「あ、あの・・」
「うん・・急にごめんね?でも俺を呼んだから・・」
「呼ぶ?」
「さっき・・カインじゃなく俺を呼んだだろう?役に徹するつもりだったけど・・・無理みたいだ」
「え、とあの・・」

何て言ったら良いのか解らず困惑気味のキョーコに

「君に聞きたいことはいっぱいあるんだけど・・・まずは俺の話を聞いてほしい・・きっと今を逃したら君を捕まえられない・・・」

蓮はキョーコの耳元に顔を寄せて一言囁いた。キョーコの頬がみるみる染まる。
それはキョーコが大事な感情を取り戻す為の言葉であり、蓮も過去と向き合える強さを持てるきっかけとなる。

その一言から全てが始まる。





終わり












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