スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

解除

ご訪問ありがとうございます。
一ヶ月以上開いてしまいました。
書きたい事は色々あるのに文章に纏まっていない状態です。
とりあえず一つUPしますので暇つぶしにでもなれば(汗)


「・・・さん・・」

真夜中の薄暗い部屋の中、キョーコは控えめに声をかけた。
しかしその呼びかけに答えはなく、苦しげなうめき声と更に救いを求めるように手が伸びる。
キョーコはその手をギュッと掴んでその部屋ではほとんど発する事がなくなった名前を呼んだ。

「・・敦賀さん!」

その声が届いたのか横向きに寝ていた蓮の身体がビクッとして瞳が開く。
まだ覚醒していないのかその瞳には何も映っていないようでキョーコはもう一度声をかけた。

「敦賀さん?大丈夫ですか?・・すごくうなされていましたよ?」

蓮は声の主の方へ焦点を合わせ、ふうっと息をつき身体を起こした。

「ごめんね?最上さん、起こしちゃったね」

通常ならカインヒールとして返事をする所だが、蓮として答えたのは、毎晩のように同じ状況になっている蓮に不安を募らせているキョーコを安心させようとしたからだ。
でも起きて数秒で敦賀蓮の仮面を付けて笑顔武装してしまう蓮にキョーコは胸がギュッと詰まるようで、歪んだ表情を見られまいと俯いた。

「・・どうした?」
「い・・え、あの・・私の方こそお休み中に起こしてしまってすみません」
「いや、俺うなされてたんだろう?あまりいい夢じゃなかったから・・だから逆にありがとう、君が手を引いてくれたから夢から抜け出せた」

蓮がまだキョーコによって握られたままの右手に視線を向けるとキョーコはハッとして

「ギャッ!!すすすすみませんっっ私!!」

両手をパッと広げ蓮の手から離れそのまま後ずさりしながら

「あああの、み、水!お水持ってきますね!!」

蓮は慌てふためくキョーコの足元に気が付き、手を伸ばすと同時に注意した。

「!!最上さん!足元!転ぶっっ!!」

「え!?」

ソファーに無造作に置いてあったカインヒールのジャケットが床に滑り落ちていた。
蓮に注意されたときにはもうキョーコは落ちていたジャケットに足をとられ、後ろへひっくり返るであろう己の運命を瞬時に悟り、ギュッと目を瞑った。
そして予想通りどさっとカーペットの敷かれた床へ倒れこんだが、キョーコの予想と違っていたのは蓮に抱き込まれた状態で倒れていることだろう。

(・・・・あれ・・どこも痛くない・・)

キョーコがそろりと目と開けると、カインヒールが着ている破れたシャツの胸元が目の前に迫っていた。

(!!!!!つつつ敦賀さんの胸板が目の前に~!!!)

セツ霊が入っている時ならば、例え蓮が入浴中であっても躊躇せずバスルームへと入っていけるのだが、今は素のままだ。認めたくなくても日々蓮への想いが育ってきているキョーコにとって、素で蓮と接する事はなるべく避けたかった。

(素で話すのも恐いのにこんな密着しててどうすればいいの!?)

一方蓮の方は転びそうになったキョーコを咄嗟に助ける為とはいえ、日々想いを寄せている少女を自身の腕の中に閉じ込めている状態で葛藤していた。

(・・マズイ・・早く離れないとこんな不安定な精神状態じゃ自制が効かなくなる・・・)

「最上さん大丈夫?怪我はない?」
「あ・・・」

蓮がキョーコの様子を窺うべく身体をずらした瞬間、キョーコはため息のような声を漏らした。

(いつもの敦賀さんじゃない香りがする・・・カインヒールを演じているんだから当たり前だけど・・でも・・)

それはいつかセラピーの様だと思った香りと違い、タバコの匂いとうなされていて掻いたのか汗のにおい。それが「蓮」というより男の人の腕の中にいるということをよりリアルに感じさせられ、キョーコは恥ずかしくなり頬を染めた。

「・・最上さん?」

キョーコの返答がないので蓮がもう一度声をかけキョーコの顔が見えるように身体を浮かすと・・
以前のキョーコならすごい形相で固まっていたはずが、今は頬を染めて瞳を潤ませている。
そして目が合った瞬間更に真っ赤になってキョーコらしくなく目を逸らした。

(これは・・少しは俺を意識するようになったってことなんだろうか・・・)

ヒール兄弟として同じ部屋で過ごすようになってから、キョーコは妹役に徹していた。とはいえ男と一つ屋根の下でかけらも動揺を見せないキョーコに蓮は、まるで男として意識されていないのではないかと少々凹み気味な日々だったのだ。
しかし今、素で以前は見られなかった反応をしている。他人からみれば些細な事だが蓮にとっては緩む顔が抑えられないほどの幸福感だ。
そしてキョーコの方は先輩に対し目を逸らすという失礼な行為を働いてしまった後ろめたさでいっぱいだったが、視線を感じ、そうっと顔をあげた。

「!!!!(こ、神々スマイル!!何で今!?)」

間近でこの笑顔を直視してしまい、キョーコの心の防御壁はガラガラと崩れ去り浄化されていく。そうして奥底にしまい込んで守られていた感情が湧き上がってきた。

「・・・逢いたかった・・」

ポツリと出た言葉は無意識に思っていた心の言葉。最近は素でも笑顔武装した蓮としか接していなかった。

「・・・え?」

キョーコの言わんとしている言葉の意味がよく解らずに聞き返す蓮だったが、次の瞬間表情をなくした。
キョーコの手がふわりと蓮の頬に触れ、花が綻ぶ様に笑んだのだ。
蓮は一瞬目を閉じグッと拳を作った手に力をこめると

「・・・ごめん最上さん、そんな表情されたらもう限界・・」

キョーコの了承なくほんの一瞬合わされた互いの唇。
驚きの表情を見せたキョーコに許しを請うような蓮の眼差し。
キョーコは蓮のシャツの裾をおずおずと掴んで溢れる想いを声にのせた。

「・・すき」

聞き逃してしまいそうな小さな、でも確実にキョーコの唇から紡がれた言葉は蓮の心に届き、破顔となってキョーコに返ってくる。

「きっと俺の『好き』の方が重いよ?でももう離してあげられない」
「え?・・んっ・・」

キョーコが声を発する間も無く蓮のそれによって塞がれる唇。
それは蓮の宣言通りに夜明けまでずっと続くのであった。




終わり















スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

sidetitleプロフィールsidetitle

パピちゃちゃ

Author:パピちゃちゃ

sidetitle最新記事sidetitle
sidetitle最新コメントsidetitle
sidetitle最新トラックバックsidetitle
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitleFC2カウンターsidetitle
sidetitle検索フォームsidetitle
sidetitleRSSリンクの表示sidetitle
sidetitleリンクsidetitle
【当ブログへのリンクについて】 二次ルールを守っておられる「ス・◯・ビ」二次作家サイト様に限り、リンクフリーです。相互リンクさせていただきたいので、お手数ですがリンクを貼られる前にご一報ください。尚、原作者様の作品画像やアニメ画像を無断掲載をされているサイト、ただ読み&無料視聴など違法な方法を紹介するサイトからのリンクはお断りいたします。 (リンクはトップページにお願いいたします)
sidetitleブロとも申請フォームsidetitle

この人とブロともになる

sidetitleQRコードsidetitle
QR
sidetitleメールフォームsidetitle
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。