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風邪?(2)

風邪ネタ続きです。もっと上手く表現できるようになりたいです。
(ふう、何とかもちこたえたわ…)

キョーコは今事務所へ向かうタクシーの中にいる。
休憩中大したことはないと言っていたが、実はかなり辛かったのだ。本当は風邪であることも悟られたくはなかった。周りに余計な心配を掛けてしまうのは心苦しかったし、自己管理出来ていないみたいで嫌だった。でも蓮にも逸美にもすぐに分ってしまった現実を思うと、演技力がまだまだ足りないと落ち込んでしまうキョーコだった。

(熱上がって来たのかな、寒気がする…)

膝に乗せたバッグを抱え込むように縮こまるが、それで寒気が解消されるわけではない。でも、休憩中に蓮に借りた上着はとても温かく感じていた。何かいい匂いがして心がふわふわするような・・・そんな事を考えていて、ハッとした。

(いけない!また敦賀セラピーにやられてたわ!きっと今アホ面してた)

キョーコは頬を軽くぺちぺちと叩きながら、また考え込む。キョーコが帰る時蓮と逸美は本番中だったので、お礼も挨拶も出来なかったのだ。彼のマネージャーの姿も見当たらなかったので、結局ひざ掛けや上着と一緒にメモに走り書きをして退出した。やはり少し待ってでも直接声をかけるべきだったかも等もんもんとしているうちに、顔が青ざめてきた。

「お客さん、さっきから赤くなったり青くなったり具合大丈夫ですか?」

タクシーの運転手さんに心配されるほど百面相をしていたキョーコだった。




「え?椹さん来客中ですか?」

急な来客で席を外しているとのことなので、キョーコは部室に居るとの言伝を頼みラブミー部で待つことにした。
人前でずっと気を張っていたので、部室で一人になると気が抜けてふらふらしてくる。

「帰り、病院いったほうがいいかな~」

そう呟きふらふらしながら椅子に座りこみテーブルに頭を突っ伏した。



しばらく時間が経ったころ、ラブミー部室のドアをノックする小さな手があった。

「あら?今部室に居るって聞いてきたのに…」

一応ドアノブに手を掛けてみると、ゆっくりとドアが開く。

「…お姉さま?いらっしゃるの?」

小さな手の主マリアは少し遠慮がちに中を覗き込み、その光景を目にして怪訝そうに声を掛けた。

「お姉さま、寝てるの?」

キョーコはマリアの呼びかけにも反応なく、向こう向きで頭をテーブルに伏して片手はだらりと下がっている。
小さなマリアでもキョーコの様子がおかしい事に気が付き、駆け寄って顔を見ると苦しげな表情に赤い顔をしていて、額に触れなくても高熱がある事が見て取れる。意識も朦朧としている。

「お姉さま!!しっかりして!」

マリアは廊下へ飛び出し、

「誰か…誰か来て!!」

大声で叫びながら、事務所の社員を捕まえに行った。




続く

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